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日本の伝統的な和菓子といえば『落雁(らくがん)』
- 2016/10/4
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日本では昔からなじみにある干菓子(ひがし)、“落雁”(らくがん)。お茶菓子やお盆やお彼岸のお供えもののイメージで知られていますが、数ある日本の銘菓の中で、日本三大銘菓といわれている全てが落雁なのです。その味は、サラリとした口どけと上品な甘さの日本を代表する伝統和菓子です。
落雁(らくがん)とは?
落雁の主な材料となっているのは蒸して乾燥した米の粉と水あめや砂糖です。これらを混ぜて練り合わせて型にはめ、乾燥させることで出来上がります。また、熱を通していない米の粉を使い、水あめを加えて形を作ってから一度蒸し上げ、その後乾燥させて作る方法もあります。前者を落雁と呼び、後者を白雪糕(はくせつこう)と呼び分けることもあります。白雪糕の製法は熱処理をした米の粉が出回るようになると、時が経つにつれて少しずつ落雁の製法と一緒になっていきます。しかし、以前は白雪糕にハスの実やヤマイモの粉末などを練り込んだものも作られており、疲労や食欲不振に効果があると、病気の人への栄養食や母乳の代わりにもされていたそうです。現在でも、改良されて落雁の製法に近づけつつも、白雪糕の名前で販売されている商品もあります。
その他、米の粉以外のでんぷん質を利用した落雁もあり、それぞれ製造されているところの地域性が豊かに表れています。大麦を挽いた「はったい粉」を使って作る麦落雁は群馬県館林市や長野県松本市や京都市などの各地で作られています。地域の伝統菓子として長らく親しまれているのは福井県敦賀市の豆落雁です。粗く挽いた大豆を原料に使い、「お多福」の顔を型にした豆落雁は昔ながらの製法でじっくりと作られています。栗の名産地でもあり、栗を使った和・洋のスイーツを食べられる街としても注目されている長野県小布施町では栗を使った栗落雁が作られています。
落雁の歴史
落雁のルーツは、西~中央アジアのあたりで作られていた干菓子(ひがし)が中国にもたらされ、それが明の時代の中国から日明貿易によって伝わったと言われています。軟落甘(なんらくかん)と呼ばれた干菓子は、米や小麦の粉に水あめや脂肪を加えて乾燥させたものだったようです。落雁という名前の由来については、この軟落甘の「軟」が落ちたものという説と、近江八景の「堅田落雁(かたたのらくがん)」から取られたという説があります。近江八景は現在の滋賀県で見られる優れた景色を8つ選んだものです。昔の落雁は米の粉を四角く固め、その上に黒胡麻を散らしていたことから、その黒い点が水辺へ降り立つ雁の群れに見えたということから「落雁」と呼ぶようになったとも言われています。
日本三銘菓にもなっている落雁
和菓子好きな人にも意外に知られていないのが、日本三銘菓と呼ばれている和菓子はすべて落雁だということです。これらの落雁について紹介します。
石川県金沢市の『長生殿(ちょうせいでん)』
江戸時代、加賀藩三代藩主の前田利常と、茶道遠州流の開祖・小堀遠州によって生まれた歴史ある落雁です。加賀百万石と言われ、栄華を極めた加賀藩では積極的に製菓事業を支援したこともあり、豊かな文化と共に落雁をはじめとした和菓子の技術も進化しました。紅白で縁起も良く、口に含めばサラリと溶ける『長生殿』はやさしく上品な甘さが日本茶とよく合います。
新潟県長岡市の『越乃雪』
雪深い新潟を象徴するような真っ白な『越乃雪』は、越後長岡藩9代藩主の牧野忠精(まきのただきよ)の病が治ったことがきっかけとなり、江戸時代から長岡藩の贈り物用菓子として全国に名前が知られていたそうです。四角く石畳のように区切られた『越乃雪』は、注意して取り出さないと強く触れただけでホロホロと崩れてしまうほど。口に含めば、まるで新雪のように儚く、ジュワリと溶け出します。
※越乃雪は越後のもち米粉と和三盆糖を配合したものです。
島根県松江市の『山川』
松江藩七代藩主の松平治郷(まつだいら はるさと)は不昧公(ふまいこう)の名でも知られ、茶の湯や美術品を愛し、松江藩に豊かな文化をもたらした大名です。茶の湯や和菓子の発展にも力を入れていたため、現在でも松江市には多くの和菓子屋や銘菓が存在します。その中でも特に不昧公が気に入られていたものが『山川』です。大きな板状にされた紅白の落雁が2本1組になっており、それを手で割ると凸凹した形が山と川に見えたことからその名がつけられたと言われています。しっとりとした口当たりにほのかな塩味が『山川』の特徴です。
落雁というと、素朴で地味なイメージを浮かべる人も多いと思いますが、現在では若い人にも食べやすいようにと、可愛らしい形をしたものや、味付けをしたものなど様々な種類のものが販売されています。上品な甘さの落雁は日本茶と一緒に食べるのも良いですが、意外にもコーヒーと合わせても美味しくいただけます。お茶請けに、手土産に、美味しい落雁と一緒に優雅な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?
(noren Ichiro)
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