
北陸新幹線の開業によって東京から金沢まで最速2時間半ほどで行けるようになったことから、ますます観光地としても金沢への注目度は高まっています。兼六園の美しい庭園や日本海の美味しい海の幸など見どころの多い金沢ですが、金沢へ来たらぜひ足を運んでいただきたいのが、昔ながらの街並みが残る『ひがし茶屋』です。小京都ともいわれるひがし茶屋の歴史や現在の街の様子を紹介します。
ひがし茶屋とは?
金沢には昔ながらの茶屋町が三箇所あります。犀川(さいがわ)の西側にある「にし」の茶屋町と東側にある「ひがし」の茶屋町、更に浅野川を挟んで北西に広がる主計町のことです。その中でも特に有名な茶屋町が「ひがし茶屋街(ひがしちゃやがい)」と呼ばれる場所です。現在ひがし茶屋街と言われている区画(くかく)は、江戸時代末期から明治初期にかけて建築された建物が数多く残されています。2001年にはその歴史的価値が認められ、「重要伝統的建造物群保存地区」として指定されました。
ひがし茶屋街の元となるものは、加賀藩公認の「郭(くるわ)」でした。郭というのは現在で言う歓楽街のような場所に相当し、遊興の場として人々が集まり栄えました。古い町並みの美しさから、観光地として注目されるようになった1970年代頃からかつての歓楽街の負のイメージを払拭しようと、それまで「旧東郭」と呼ばれていた呼称を「ひがし茶屋街」に変更します。読み方を「ちゃやまち」ではなく「ちゃやがい」としたのも各地の茶屋町と区別をするためと言われています。
現在では、かつての美しく整備され格式ある茶屋の町としての様相の他、気軽に入れる可愛らしいカフェやショップなどもオープンしており、若い女性を中心とした観光客に人気があります。昼間は観光客の姿も多いため、かつての茶屋町のような様相は見られませんが、夕方から夜にかけては人通りも少なくなり、ひがし茶屋街はぐっと雰囲気が変わります。昼間は開いていたショップも店を閉め、家々の明かりが消える街の中では一見さんお断りの昔ながらのお茶屋さんが今でも営業をしています。訪れるチャンスがあるのなら、お座敷で芸妓さんの芸を見て、昼と夜の雰囲気の違いを楽しんでみるのも良いですね。
ひがし茶屋の楽しみ方
古い建物が並ぶ街を歩くのも楽しいですが、せっかくですので、ひがし茶屋街まで来たらお茶屋さんに入ってみましょう。一見さんお断りのお店ではないのかと思われますが、実は昼間はカフェとして甘味やお抹茶をいただくことができたり、見学料を払えば中を見ることも可能です。江戸時代から続く老舗のお茶屋さんの雰囲気は何とも優美でゴージャスです。また石川県の様々な伝統工芸品と出会うことができます。金沢といえば江戸時代から加賀藩が製造していた金箔(きんぱく)の「金沢箔」で、国内の99%の金箔は金沢市で作られています。それが漆器(輪島塗、金沢漆器)や金屏風、その他金箔工芸品に使われており、その他加賀友禅や金沢和傘などなど、和カフェやショップなどで垣間見ることができますよ。
そして食事をひがし茶屋で食べたいという人は、ぜひ金沢の味を体験してみましょう。古くから地元の人たちに愛されている老舗レストランや、和菓子のお店、ゴージャスな金粉がたっぷり使われているソフトクリームなど、定番のものからちょっと変わった食べ物までバラエティに富んでいます。大きな通りだけでなく、町歩きは小さな通りや裏通りを歩いてみると新たな発見があるかもしれません。石畳や格子戸(こうしど)が並ぶ狭い路地に一歩足を踏み入れたら、どこからか三味線の音が聞こえてきたり、夕暮れから夜にかけてはぼんやりとガス灯風の照明が街に灯り、ノスタルジックな雰囲気を作り出してくれます。街自体は広くないですが、あちこちのお店を眺めたり、のんびりしているとあっという間に時間が過ぎてしまいそうですね。
江戸時代から続く茶屋町の格調の高さと現代風のお洒落なお店が美しく整然とした街を賑やかにしているひがし茶屋街。金沢観光に行かれた際には是非遊びに行ってみてはいかがでしょうか?
◆お茶屋の中を見学できる場所
お茶屋文化館(旧 中や)
石川県金沢市東山1丁目13-7、TEL 076-252-0887
石川県金沢市東山一丁目13-21、TEL 076-252-5675
懐華楼(かいかろう)
石川県金沢市東山1-14-8、TEL 076-253-0591
(noren Ichiro)
茶道の世界を体験しよう! 浜離宮庭園『中島の御茶屋 編』Vol.3
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