
都内には、お抹茶を頂ける素敵な庭園がいくつかあります。
今回は、基本的な作法とともにお抹茶を楽しむため、浜離宮にある中島の御茶屋にお邪魔しました。
浜離宮庭園とは
浜離宮恩賜庭園(以下浜離宮)は、江戸時代には江戸城の「出城」としての機能を果たしていた徳川家の庭園です。明治維新ののち皇室の離宮となり、その後東京都に下賜された、国の特別名勝・特別史跡です。
浜離宮は回遊式庭園となっており、海水を引き入れた潮入の池、二カ所の鴨場、内堀と、池をまわり風景の変化を楽しむことができます。庭園には、六代将軍家宣の時代に植えられた見事な黒松のほか、梅、菜の花、桜、牡丹、藤、花菖蒲、秋桜など四季折々の花が咲き誇ります。
※三百年の松:六代将軍家宣が庭園を大改修したとき、その偉業をたたえて植えられた松
浜離宮で御茶屋体験
浜離宮には中島の御茶屋、松の御茶屋、燕の御茶屋と三つの御茶屋があります。中島の御茶屋は、将軍を始め奥方、公家たちが庭園の眺望を堪能した休憩所で、現在は一般の方に開放され、「抹茶・和菓子セット」を楽しむことができます。
4月、染井吉野が満開を迎える美しい季節に、中島の御茶屋にお邪魔し、お抹茶とお菓子をいただきました。
大手門の入り口から入り、中の御門の満開の染井吉野をすぎ、潮入の池に行き着くと、池の中島に見えるのが目的の御茶屋です。
総檜造りのお伝い橋を渡り、潮入の池に浮かぶように建つ、中島の御茶屋に向かいます。
中島の御茶屋の入り口と、左手の庭には、美しい砂紋が描かれていました。建物の入り口で、注文とお支払いを済ませ、靴を脱いで上がります。
この日は上生菓子とお抹茶のセットをお願いしました。季節のお菓子が3種類から1つ頂けます。どれになるかは出てきてのお楽しみです。
御茶屋の中は、毛氈(もうせん、赤い絨毯のようなもの)が敷いてある畳のお部屋と、外に椅子席の用意があります。
こちらでは、作法がわからなくてもくつろいでお茶を頂けます。また、作法を知りたい方には、説明書き(英文・仏文あり)のご用意もあります。
畳のお部屋でお抹茶を堪能するもよし、外の椅子席で景色を楽しむもよし。折角なので、この機会に、基本的な作法でお抹茶を頂いてみましょう。
毛氈の上に正座をしてお部屋や風景を楽しみながら待ちます。番号順でお抹茶とお菓子が運ばれてきたら、運んでくださった方に、一礼して受けましょう。
まずは、お菓子から。この日、頂いた上生菓子は「牡丹」。淡い紅白色が美しく、中は柚子餡、季節を目と舌で楽しめるお菓子です。
お懐紙ごと手に取り、黒文字(楊枝)で切って口に運びます。上品な甘さと柚子の香りが口一杯に広がります。
お菓子を食べきったら、お抹茶を味わいましょう。お抹茶は、東京都公園協会オリジナル「林泉の昔」の薄茶です。茶碗を左掌にのせ、感謝の気持ちを込め、茶碗を右手前に二回まわし、正面をさけてお茶を頂きましょう。
飲みきったら正面を戻し、お茶碗を是非ご覧になってください。京焼きや織部など、様々な茶碗をお出ししているので、器も楽しむことができます。頂いたら一礼し、器をのせたお盆を横に寄せておきましょう。
黒文字(楊枝)は持って帰ることができます。持ち帰り、裏に日付と場所を書いておくと、今日の記念になりますので、お勧めです。
その後は、お部屋の中のしつらえや御茶屋からの景色を楽しみましょう。
尚、お部屋の一角に飾られている、お抹茶を点てるためのお道具や、今日頂いたお抹茶「林泉の昔」などは、すべて浜離宮恩賜庭園内の売店で購入が可能です。
浜離宮では、四季の花々や紅葉、冬の雪吊りのほか、松の手入れ見学会や大茶会などのイベントも実施され、年間を通じて楽しむことができます。
四季を体感できる庭園で、是非美味しいお抹茶を頂いてみてください。
【浜離宮恩賜庭園】
▪️開園時間:午前9時〜午後5時(入園は午後4時30分まで)
▪️休園日:年末年始(12/29〜1/1)
▪️無料公開日:みどりの日(5/4)、都民の日(10/1)
※1 無料公開日以外は入園料がかかります。
※2 中島の御茶屋での抹茶セットは取材当日の料金です。
(noren Ringo)
総合芸術「茶道」を知って、日々の暮らしを豊かに。(Vol.1)
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