日本の急須は取っ手が独特!?(伝統工芸)


最近ではペットボトルの普及でどこでも手軽にお茶を飲むことができるようになりましたが、急須でゆっくりと淹れたお茶の味というのはやはり格別です。日本茶を楽しむ際に、茶葉の種類や産地の他、茶を淹れるための道具にこだわる人も少なくありません。湯を注ぎ、茶葉が開くまでをじっと待ち、頃合を見計らって注ぐ。急須はお茶を飲む時に欠かせない道具です。日本で使われている急須と、中国や台湾など他のアジアの国で使われている急須の違いや紅茶を淹れるティーポットとの違いについて紹介します。

 

日本に急須が伝わるまで

嗜好品としてお茶を飲む習慣が始まったのは中国からです。その後アジア圏を中心に飲茶の習慣が広がり、今では世界中で様々なお茶が飲まれるようになりました。日本へは遣唐使によって茶や茶器が持ち込まれ茶文化が伝えられたと考えられています。この当時持ち込まれた物は、注ぎ口の真後ろに持ち手のついた「茶注」と呼ばれる、いわゆるティーポットの形をしていました。ティーポットはイギリスがインドで茶の栽培をするようになった17世紀頃から西欧にも伝わり広く使われるようになりました。中国から茶注の輸入は明治時代まで続き、中国製の茶注を手本にして日本各地でも作られていました。

急須3

日本特有の「急須」ができるまで

中国から伝わったティーポット型の茶注と日本の急須の最大の違いは持ち手の位置にあります。ティーポットは注ぎ口の真後ろに持ち手があることに対し、急須の持ち手は注ぎ口と直角に作られています。持ち手の位置を注ぎ口から直角の場所に置く事で、急須を持った時のバランスが良くなります。持ち手を軸にして急須を立てたときに倒れないものが良い急須だと言われています。急須の大きさは大きくても300cc程度です。急須が小ぶりな理由は片手で持ちやすくするためと、一度でお茶を全て注ぎ切るためです。最後の一滴にまでお茶の旨味が凝縮されているため、こうすることで2煎目も美味しくいただけます。

日本の急須

日本の急須

 

様々な急須の素材

急須で一般的なものは陶器製のものです。三重県四日市市の萬古焼や愛知県常滑市の常滑焼が有名です。陶器は吸水性のある粘土を1000~1300℃の温度で焼いたもので、あたたかい味わいや表面のごつごつした手触りの素朴さがあります。吸水性・保温性に優れていますが、お茶の香りや成分が急須に移りやすいため様々な種類のお茶を飲む場合に香りが混ざる恐れがあります。伊万里焼九谷焼といった磁器製のものも多く出回っています。磁器は石を砕いてできた粉を原料とし、1300℃以上の高温で焼き上げたものです。気孔がほとんどないため吸水性は無く、薄手で軽く丈夫な点が特徴です。陶器と異なり、きちんと洗えば香りが移ることがないため、複数の種類のお茶を淹れる場合や、玉露などの香りの強い茶にも使えます。その他、耐熱ガラス製、鉄や胴を使った金属製、木製のものなどもあります。
急須2

日本茶を飲む際に欠かせない急須で、ゆっくりとしたティータイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(noren Ichiro)


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