日本の伝統文化カードゲーム!『花札』


花札は、色鮮やかな植物や短冊が描かれた絵札を使って遊ぶ古くからあるカードゲームです。現在でも家族や友人同士で集まった時にはトランプやウノなどの他のカードゲームと同様に遊ばれおり、ネットゲームで楽しむこともできます。季節の花をあしらった美しい花札の歴史や遊び方を紹介します。

 

花札の歴史

安土桃山時代、ポルトガルの宣教師により鉄砲やキリスト教といった西欧の文化と共に、カルタというカードゲームが伝わってきました。現在も日本語で「かるた」として残っているこの言葉の語源はポルトガル語でカードゲームを表す「carta」からきています。当時持ち込まれたカードゲームは、どちらかといえば現在のトランプに近い形のようなもので、12×4スート(絵柄)の48枚が一組になっていました。絵柄も植物ではなく、西欧風の聖杯や剣が描かれていました。ポルトガルのカルタは九州で印刷され、「天正カルタ」として全国に広がります。江戸時代に入ると武士や貴族だけでなく一般庶民の間でも流行しましたが、天正カルタを使った賭博が横行するようになりました。江戸幕府はカルタによる賭博を取り締まりましたが、こっそりと続けられ現在の花札へと形を変えて伝わっていきます。明治時代に入り、ようやく花札が解禁されるようになると再び全国でブームが起こります。

 

現在の花札

現在使われている花札は12ヶ月それぞれの花をあしらった模様のカードが、一月につき4枚でセットになっています。例えば、一月は松をモチーフにし、松に鶴の絵柄のカードが1枚、松に赤い短冊のカードが1枚、松のみの札が2枚といったように少しずつ柄が異なります。ゲームで得点に結びつきやすいものは植物の他に動物や人、物が描かれている札です。ゲーム内容やルールによって得点は異なりますが、カードをめくって合わせる「花合わせ」では、最も高い点数の絵柄は1月の松に鶴、3月の桜に幕、8月の芒(すすき)に月、11月の柳に小野道風(おののみちかぜ:平安時代の貴族)、12月の桐に鳳凰の5つです。残りの絵柄はこれらの次に点数が高く、その次が短冊の描かれた札になります。更に「花合わせ」や「こいこい」といったゲームでは決まった絵柄を集めた役によって点数が加算されます。上記の絵柄5つを合わせると「五光」になり、加算点数が最も高い役です。

五光

五光

 

その他、猪・鹿・蝶の3つの札を合わせて「猪鹿蝶(いのしかちょう)」、赤い短冊に文字の書かれた物を3つ合わせると「赤短」、青い短冊の物を3つ合わせると「青短」になります。

 

短冊に書かれている言葉の意味は?

松・梅・桜の赤い短冊にはよく見ると文字が書かれています。松と梅の札には「あのよろし」と平仮名で書いてあるようにみえますが、正しくは「あかよろし」と読みます。平仮名の「の」の字のように見える文字は、元々は「可」の字を崩して書いた文字に由来し、「か」と発音します。「あかよろし」という意味は、「明らかに良い」という意味だと言われています。また、桜の札に書かれた「みよしの」とは桜の名所である奈良県吉野地方のことを示します。

花札あのよろし

 

ルールや役など、覚えるまでに少し時間がかかるかもしれませんが花札は誰でも楽しめて夢中になれる日本のカードゲームです。コンパクトで持ち運びにも便利なので、家族や仲間で気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。

(noren Ichiro)


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