日本の伝統芸能!!「日本舞踊」を知ろう


日本舞踊(にほんぶよう)とは、名前の意味を考えれば「日本のおどり」ですが、昨今まで習い事などで伝承されている日本舞踊は舞台の上で踊って演じる舞台芸術のことを言います。現在ではおよそ120の流派が日本舞踊協会に加入しています。

 

日本舞踊の歴史

日本に古くからある「舞踊(ぶよう)」は、神話の時代から主に神事のために行われてきました。それが伝統芸能として変化したのは江戸時代初期のことです。出雲阿国(いずものおくに)によって演じられた「かぶき踊り」が元になり歌舞伎が出来上がると、その踊りのエッセンスが日本舞踊の根幹を作り出しました。明治以降になって、歌舞伎から舞踊の部分だけを独立させ、振付師が師匠となって女性に舞踊を教える事で広く普及するようになったのです。

出雲阿国(いずものおくに)

出雲阿国(いずものおくに)

 

日本舞踊の特徴

日本舞踊の動きは「」、「踊り」、「拍子」の三つが複雑に合わさる事で細やかな心情を表現します。舞は伝統的な、雅楽や神楽といった神に捧げるものとしての舞踊を踏襲したものです。すり足や静かな動作が特徴で、重厚な歌や音楽に合わせて舞台を旋回する運動です。優雅で貴族的な印象を与えます。一方の踊りは庶民的で軽快な歌や音楽に合わせて足を鳴らし、拍子を取りながら大きな身振り手振りをする運動です。念仏踊りや盆踊りなどの要素にもなっています。振りは歌舞伎や人形浄瑠璃の発達により発生したもので、日常的な動きや仕草を歌や音楽に合わせて舞踊として表現します。

 

日本舞踊とバレエの動きの違い

西洋のバレエの動きと日本舞踊を比べると、随分と動きに差があるのがわかります。バレエには反動をつけた動きや、遠心力でくるくると回転をする動きが見られますが、日本舞踊にはそのような動きはありません。また重心の置き方も、バレエは重心を高くして爪先で立ちますが、日本舞踊では重心を低くくし、体を安定させて踊るのが基本です。この動きの違いは騎馬民族農耕民族の生活スタイルの違いからきているとも言われています。また、日本舞踊は着物を着て日常的に行う動作を基本にしているため、バレエの動きのような特別なトレーニングは必要なく、年齢を重ねても演じることができます。

動き以外の部分で異なるのは、バレエでは女性役が上演中にいきなり男性役を一人二役で演じる事はありませんが、日本舞踊の「素踊り」ではひとりで老若男女複数の役を演じる事があります。

 

江戸文化と上方文化

日本舞踊は江戸の歌舞伎舞踊を中心とした「踊り」と京都・大阪の「舞い」の大きな2つの流れがあります。落語など他の伝統芸能と同様に、日本舞踊でも現在の東京である江戸を中心とした「江戸文化」と、現在の大阪を中心とした「上方文化」、それぞれの文化に合わせたバリエーションができあがりました。江戸時代初期の頃、文化の中心は大阪・京都にありました。出雲阿国(いずものおくに)がかぶき踊りを始めたのも京都です。その後文化の中心が江戸に流れるに従い、歌舞伎の中心地も江戸へと移ります。大阪・京都では江戸で主流となった歌舞伎舞踊とは異なり、料亭や貴族の座敷などの狭い空間で踊る舞いが流行しました。そのため「座敷舞」とも、地唄を伴奏とすることから「地唄舞」と呼ぶこともあります。

上方舞は一畳ほどの狭い場所でも舞うことができ、屏風を立ててロウソクを灯して舞うことが多かったのも屋敷内で舞われていた名残です。酒宴の席でほこりを立てないように静かで落ち着いた動きに、女性の心理を情緒豊かに表現する演目が多かったようです。

 

日本舞踊に欠かせない小物

日本舞踊で小さいけれども重要な役割を果たしているのが小道具です。演者は季節ごとに合わせた生地や柄の着物を着用し、小道具には扇子手ぬぐいを使います。

扇子(せんす)

「おうぎ」とも呼びます。扇子には各流派の紋が入った物や、流派に関係なく使われる、紋が入っていないものがあり、演目によって扇子を合わせる場合もあります。扇子は閉じたり開いたり、また合わせる動作によって様々な小道具に見立てられます。閉じたままの扇子は刀・槍・杖・きせる・箸・お銚子など、少しずつ開けば手紙、全て開くと大盃など、扇子の扱いによって場面がより生き生きと、わかりやすく表現されます。

 

手ぬぐい

手ぬぐいもまた、日本舞踊で欠かせない小道具です。棹や男性の着流し姿に見立てる他、特に女性の踊りでは情緒豊かな使われ方をします。手ぬぐいを広げて持ち、霞が優雅に後へ流れていく様子や、口に手ぬぐいをくわえて悲しさや思い通りにならない気持ちを表現したり、女性の繊細な心まで小道具1つで表せます。

海外への普及も盛んに行われている日本舞踊ですが、日本人の間でもなかなか難しい、敷居が高い、というイメージのため入りにくく感じる人もいます。しかし、古来より舞踊は形を変えながら脈々と受け継がれてきた伝統です。最近では若い女性でも所作の美しさや礼儀作法を学ぶために、日本舞踊を習い始める人も出てきています。日本舞踊の形態も三味線お囃子(おはやし)ではなく、演奏にオーケストラを迎えるなど新たな試みも見られています。もし実際に見る機会があれば一度自分の目で見てその特有の音楽や動き、リズムなどを感じてみてはいかがでしょうか?また歌だけで、ストーリーを理解することは少し難しいかもしれませんので、事前に演目内容をチェックしておくとより楽しめると思います!

(noren Ichiro)

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