
赤くまん丸な体にぎょろりと大きな黒い目玉のだるまは日本では古くから縁起物として親しまれてきました。願掛けをする際にだるまの左の目を入れ、願いが叶ったらもう一方の目も入れる様子は選挙のテレビ中継で当選確実の一報が流れた際によく見られます。ころころと愛らしい姿のだるまの歴史を紹介します。
だるまの歴史
だるまのモデルになった人物は禅宗の開祖と言われる達磨大師です。達磨大師は南インドの出身でしたが中国に渡って中国禅宗を開き、やがてその教えは禅宗として日本にも広がります。達磨大師は非常に修行熱心で、壁に向かって9年もの間座禅を続け、その間に両手足が腐って取れてしまったという伝説があります。この伝説を元にして手足のない形状になったと言われています。だるま生産量日本一の群馬県高崎市で作られる「高崎だるま」の始まりは17世紀後半、達磨大師の姿を描いた札を毎年正月に縁起物として配っていたお寺の住職が木で型を作り、養蚕(ようさん)農家の冬の内職として張子のだるまを作らせたことにあります。現在のような形になったのは明治時代頃で、縁起物として広く全国に普及していきました。
だるまの色や形
だるまの体が赤い理由は、古くから赤が血や火を連想させ魔除けに効果がある色とされてきたことに由来します。だるまが縁起物として広がると、紅白になるように白いだるまも作られるようになりました。現在高崎だるまには紫、黄、緑、ピンク、金など様々な色のだるまが登場し、それぞれの色に縁起物としての意味を持たせています。だるまの形状も、最初は人の体に近い形状をしていたものが少しずつ丸くなっていき、倒してもまた起き上がるとして「七転び八起き」の精神を象徴するようになりました。
※七転び八起き:何度失敗しても、諦めずに立ちあがること(日本のことわざ)
日本各地で作られているだるまの種類
だるまは日本各地で作られており、地域によって形状や材質の違いなど特徴があります。
高崎だるま
群馬県高崎市で生産され、だるまの全国生産量のうち80%を占めます。選挙で使われるだるまのほとんどが高崎だるまです。上州名物のからっ風や、乾燥した気候がだるまを作る環境に適しており、養蚕農家の冬の内職として広がりました。体は丸く球体に近く、くぼんだ白い顔に縁起の良い鶴亀をモチーフにした眉毛と髭が特徴です。
高崎だるまは、最初は目が入っていませんが、最初に左目→願いが叶ったら右目を塗ります。
松川だるま
宮城県仙台市とその近郊で作られており、体の前半分が青、後ろ半分が赤で塗られていることが最大の特徴です。鮮やかな青い色の体には豪華な宝船や福の神が描かれ、キリッとした眉毛には毛を使っています。また、だるまは通常目を入れない状態で販売されることが多いですが、松川だるまは最初から大きな黒い目が入れられています。これには「四方八方を見渡す」という意味が込められています。
姫だるま
勇ましい顔つきのだるまと異なり、やさしい女性の姿をした姫だるまもあります。大分県竹田市で作られる姫だるまは家庭円満、商売繁盛の象徴として作られました。道後温泉で有名な愛媛県松山市で作られている姫だるまには子供の成長と幸せを願う縁起物として結婚祝いや誕生祝いに贈られています。
願いは希望どおりにいかない事も沢山あります。これを救うのは禅の世界です。
困難に出会った時、だるまと一緒に、その願い(目標)に向かって自ら探求し努力してみては如何ですか?
(noren Ichiro)
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