”芸者”(芸妓、舞妓?)知ってますか?


外国人にもよく知られている日本語の1つに「ゲイシャ」があります。美しい着物姿にてお座敷で接待をし、芸を披露する女性というイメージですが、芸者とは具体的にどのようなことをしている職業なのか紹介します。

芸者のルーツ

お酒の席で三味線や踊りなどの芸事に加えてお酌などの接待も行いお客を盛り上げる女性のことです。芸者の起源となったのは、およそ300年前江戸時代の頃、京都の水茶屋で働いていた茶汲女(ちゃくみおんな)だと言われています。八坂神社の周辺にはお参りに来る人々や旅人のために水茶屋と呼ばれる茶店が多くありました。そこで茶汲女が歌舞伎を真似て歌や舞を披露したことから拡がっていきます。そのうちお茶と茶菓子の提供だけだった店も、次第に料理や酒を出すようになりました。京都は現在でも祇園を中心に、厳しいしきたりを守る芸妓・舞妓が活躍しています。

 

芸者?芸妓?舞妓?違いと見分け方

海外では芸者という言葉が一般的に知られていますが、その他にも芸子や芸妓、舞子など違いがいまひとつわかりにくい言葉も多くあります。それは東京を中心とする関東地方と京都での呼び名の違いからきています。

◯東京・・・・「芸者」と呼ぶ。見習いは「半玉(はんぎょく)」、「雛妓(おしゃく)」
◯京都・・・・「芸妓(げいこ)」と呼ぶ。見習いは「舞妓(まいこ)」

京都を歩いていると着物姿の芸妓さん、舞妓さんを見かけますが、芸妓と舞妓の見分け方は、着物の帯の違いが分かりやすいです。見習いの舞妓は帯を足首の近くまで長く下ろす「だらりの帯」で、芸妓は後で四角くまとめた「太鼓帯」で結んでいます。また、舞妓になって一年未満の場合、長い紐状でぶらぶらと顔の横で揺れるような大きな花飾りを髪に付けています。

最近では、観光客へのサービスで舞妓さんのような着物と化粧で撮影しながら街を歩けるサービスを行う業者も増えており、素人の舞妓さんとプロの舞妓さんの見分けがつかない場合もあります。見分け方としては、まず舞妓は昼間に出歩く事はありません。昼の時間は主にお稽古の時間に当てられており、着物を着て出歩くのは出勤時間の夕方にかけてです。もう一点、細かいですが先程のぶらぶら揺れる髪飾りを付けた着物の女性を見かけたら口紅の差し方に注目しましょう。舞妓は上唇には口紅を塗りませんが、観光客によるなりきり舞妓は上唇にも赤い紅を差しています。

基本的に舞妓や芸妓を街で見かける時には仕事前の通勤姿です。彼女たちは非常に忙しいため見かけても写真撮影をお願いしたり足止めをしないようそっと見守ってあげましょう。

 

厳しい伝統の世界

江戸と京都それぞれによって多少のしきたりの違いはありますが、基本的に芸者の世界は厳しいところです。京都で1人前の芸妓になるにはまず見習いの舞妓になる必要がありますが、舞妓としてデビューするまでにもおよそ1年かかります。舞妓デビューの前段階を「仕込み」と言い、15才頃から置屋と呼ばれる芸者や遊女を管理している場所で先輩と共に共同生活を送ります。その中で行儀作法や舞、着付けを学び舞妓になると、さらにそこから芸妓になるための修行として三味線やお囃子の他、最も大切なお座敷での接待を学びます。これをおよそ5年間続け、舞妓になると客前に出す手を荒れさせないために家事は一切しなくなります。芸妓にとって唄や三味線などの芸事が上手いことは勿論大切ですが、それ以上にお客との接し方や話し方、女性らしい魅力も重要になってきます。

舞妓としての修行期間を終えると、舞妓の特徴であった赤い衿から芸妓を表す白い衿にかえる「衿かえ」を行い晴れて芸妓としてデビューします。

 

芸者になるには

京都で芸妓になるには、まず舞妓になる前の段階、仕込みとして置屋に住み込むことから始まります。舞妓には15~20歳という年齢制限があるため中学校を卒業してすぐに芸の道へと進みます。舞妓のうちは修行中のため給料を得る事はできません。その代わり生活費や稽古の費用などは置屋が負担します。その後芸妓になるとお給料がもらえますが、置屋を出て自分で生活をしなければなりません。しかし芸妓になってからも5年程度は「年季」といって、仕込みから舞妓時代に置屋が投資してくれた費用を返す必要があります。年季を全て払い終わった時を「年季が明ける」と言い、年季が明けると置屋から独立してフリーランスで活動できます。

芸妓になる一番の近道は舞妓になることですが、中には高校や大学を出たり社会人を経験してから芸妓を目指す人もいます。その場合は舞妓にはなれないため、置屋で芸妓として修行を始める事になります。

芸者

日本で本物の芸妓や舞妓に会う確実な方法は、お茶屋を予約することです。費用は決して安くはありませんが、目の前で日本の伝統芸能を見てその雰囲気を味わうことができます。しかし、京都のお茶屋は一般に一見さんお断りでしたが、最近は予約をすれば体験できるコースのある料亭もあります。一流ホテルや旅館を通して予約する事も可能なので、費用を気にしなければ一度体験してみるのも面白いかもしれません。

(noren Ichiro)

京都・祇園という街


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