日本の伝統芸能「能・狂言・歌舞伎」


日本の伝統文化は色々ありますが、島国ということもあって、その多くは外部からの文化を一切吸収しないまま独自の成長を遂げています。演劇に関しても同様で、昔ながらの様式で演目を行う能や狂言、歌舞伎といった演目は、他国では見られない日本特有の文化として広く知られています。現代でも歌舞伎や能楽など、海外公演を行うケースは多く、有名な役者の多くは、過去に伝わってきた様々な演技にまつわる技術を世に発信しています。

 

日本の能楽“能と狂言”

能楽は元々中国から渡ってきた申楽と呼ばれる踊りから発展したものといわれています。当時の申楽は様々な芸をまとめたものだったのですが、少しずつ神に作物の豊作を願うための田楽と呼ばれる踊りなどの影響で、少しずつ申楽のうちの踊りが独自に発展するようになりました。13世紀の終わりごろには踊りに物語や音楽を加えた現在の能楽に近い演目が行われるようになり、徐々に娯楽として定着するようになりました。そして歴史のある神話や物語を題材にした悲劇は“能”、一般庶民の生活を題材にした喜劇は“狂言”へと別れていったようです。その結果、現在の能楽は日本の伝統芸能の一つとして、海外でも多くの人から注目を集めています。

 

海外でも注目の歌舞伎

日本の伝統芸能の中でも、特に広く庶民に浸透していたのが歌舞伎です。世間の常識から外れた格好で過ごす「かぶきもの」と呼ばれる人をモチーフにした芝居が庶民の間で大ウケしたことで、江戸時代に入るころにはたくさんのスターが誕生したといいます。当時の浮世絵にも歌舞伎をモチーフにした作品が数多く存在し、有名歌舞伎役者は現在も新しい歌舞伎役者の育成に力を入れています。その独特なスタイルは海外でも人気で、日本観光に訪れた外国人が演目を見る機会も増えています。

 

日本の伝統芸能の魅力とは

狂言や能、歌舞伎といった日本の伝統芸能の魅力は、それぞれの独自の個性にあるのではないでしょうか。日本の伝統芸能はいずれも様々な形で発展したもので、狂言は笑ってしまうような楽しい話が多く、現代の文化や考え方を取り入れた新しい狂言もたくさん生まれるなど、時代に合わせた面白さを現在も感じることが出来、能は厳粛な雰囲気の中、日本の古文や中国の詩などをモチーフにした舞や音楽が、何百年と積み重ねてきた歴史を感じさせてくれます。歌舞伎は発展したころからエンターテインメントとして大いに発展してきたこともあり、古くからある演目でもとっつきやすく、その奇抜な衣装や縁者の動きなど、物語がわからなくても面白さを感じることが出来ます。

 

海外旅行者向けの伝統芸能

最近の日本では、外国人観光客のために、日本の伝統芸能を海外の方にも知ってもらうために、様々な取り組みを行っています。日本の伝統芸能に関する基礎的な知識を英訳して掲載したパンフレットや、歌舞伎の会場では演目の内容が字幕で表示される専用モニターを設置し、日本語がわからないという方でも日本の伝統芸能をわかりやすく感じてもらえるよう、様々なサービスを提供するよう動いています。日本国内では勿論、海外公演なども積極的に行っており、日本に行かなくても日本の伝統芸能に触れることが出来ます。

 

どう楽しめばいいのか?

能や狂言、歌舞伎といった日本の伝統芸能は、当然日本語で行われます。さらに使われる言葉は日本の古い言葉なので、日本語が知っている方は勿論、日本人でも何を言っているのかわからないことも多いといいます。それでも日本の伝統芸能はミュージカルのような感覚で、動きを観たり、音楽を聴いたりすることが出来ます。一見すると止まって見えるようでも、細かい表情の変化や手や足の動き、西洋の楽器とはまた違った日本の楽器の音色と、細かいポイントのどれもが他の国では見られない変わった内容であることがわかります。わかりにくい内容も、最近は解説してくれるパンフレットも販売されているので、そちらを参考にするのも良いでしょう。

 

日本の文化は、他の国と海によって隔絶された環境で発展したことで、他国の文化の影響を大きく受けること無く、他にはない進化を遂げることとなりました。一時期はどの伝統芸能も衰退しそうにもなりましたが、それぞれ時代に合わせた独自の進化を続け、現在も世界中から多くの支持を集めています。最近は動画サイトなどでも映像を目にすることが出来るようになりましたが、その魅力に触れるには、実際に目を通すのが一番なので、出来れば日本に実際に赴いて、本物の能や狂言、歌舞伎を楽しんでください。


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